ナショナルプロシード2800のレストア
30年以上も前に製造されたラジオはいずれも機構的にも電気的にもメーカーが想定している寿命ははるかに超えたものです。故障したり破損していたりするのが当然で、まれに手を入れずとも動作しているラジオは動作していることがイレギュラーだと思っても過言ではないと思います。
現存している当時のほとんどのラジオは何かしら問題を抱え、満足な動作をしていないものがほとんどと考えられます。そのラジオに当時を思い起こさせることを期待して資料も測定器もなく手を入れるとさらにひどい状態になってしまうでしょう。こうして次々と再生不能な当時のBCLラジオが生まれてきています。ここでは比較的レストアした場合の再現性の高い、デジタル周波数表示のナショナルプロシード2800(RF-2800)のレストアの流れを紹介します。ある程度電子回路が理解できていて、測定器を所持、使用できる人を対象に書いていますので電気的調整部分の多くを割愛しています。
なおレストアは自己責任のもと行うと共に、自信のない人は行わないことを勧めます。またレストアの手順や内容についてのお問い合わせにはお答えいたしかねますのでご了承ください。
※ 下記内容は別冊CQ ham radio No.2に掲載された内容の一部割愛、追記したものです。
分解はネジを外していけば大丈夫だと思っていると、外してはいけないネジまで外してしまうこともあります。分解や電気的調整、修理を行うためにはメーカ発行のサービスマニュアルを入手することがどうしても必要です。(サービスマニュアルはラジオが製造されていた当時の修理や再調整のために作成されたもので、レストアの方法がズバリ書いてあるものではないということを念頭において、あくまでも参考資料として利用すべきものです。)
内部を調整するには内部が見えないと話が進みませんが、まずは正面パネルのツマミ類を全て外します。ほとんどのつまみは手で手前に引っ張ることで外せます。しかし一部固着している場合もあり、簡単に外せない場合があります。その時はマイナスドライバでこじったりせず、また潤滑スプレーなどを吹きつけず、ツマミ下にタコ糸を2本束にして通し、均等に力が加わるようにして引き抜きます。
ツマミを全て外すと汚れ具合がはっきりとする。電気的調整を行わず、外観の清掃だけを行うレストアであれば、この状態で正面パネルをきれいに拭き、保護剤を塗布して乾拭きをすることで作業はほとんど完了する。
外したツマミは1つ1つ丁寧に歯ブラシを使って中性の台所用洗剤を使用してよく洗う。特にツマミに設けられた凹んだ部分には汚れが詰まっていることも多く、歯ブラシで取れない場合は爪楊枝で丁寧に取り除く。
洗浄を終えたツマミは早めにタオルで水分を拭き取り、陰干しをしっかりします。乾燥したら艶出し剤で磨き、乾拭きをする。メッキ部分や金属部分に小さなサビがある場合は仕方ありませんが、新品のような輝きを取り戻します。
背面のパネルをネジを外して取り外します。ネジが固着していたり、錆びてネジ山がない場合は無理をせずCRC556をわずかに拭きつけ、ゆっくりと時間をかけて開けるようにします。
背面カバーを外すとプリント基板が姿を現します。下の写真の黄色丸部分のネジを外し、配線がはんだ付けされえている部分ははんだを外します。また、コネクタ部分は指でゆっくりと垂直方向に抜きます。
1枚目のプリント基板を外すとチューニングのメカ部分が現れます。同様に黄色丸部分のネジを外し、チューニングのメカ部分をゆっくりと手前に引いて抜き取ります。
チューニングのメカ部分を外すと2枚のプリント基板が現れます。電源トランスが取り付けられている基板も含め、各々の基板を同様に外し、デジタルカウンターユニットも外します。
スピーカーを除く全てのプリント基板を外した後は、赤ちゃん用おしりふきを使用して内部の汚れを拭き取ります。
中身の何もない状態で正面パネルを赤ちゃん用おしりふきできれいにします。汚れをふき取ったのち、保護剤を赤ちゃん用ガーゼハンカチで塗布し、乾拭きをします。ベタつきのないきれいなパネルに仕上がったら終了です。
最後に外したボリュームの取り付けられている基板は金属板が取り付けられています。これは半田面の突起をラジオペンチで回転させて、ボリュームのネジを外し、ICを固定しているバネ板を外して取り外すことができます。その際、突起は折れる可能性がありますので、十分注意して外します。
ガリの極めて酷いボリュームなどは交換が必要です。ある程度のガリであれば接点復活剤をほんの少しだけボリューム内面に拭きつけます。液が外部へ流れ出るほど吹き付けることは避けるべきです。接点復活剤は酸化膜を落とす用途のもので、正しく利用すれば弊害はありません。但し前述のようなガリが酷い場合は抵抗を構成する部分が摩耗しているため、接点復活剤では元に戻りません。また流れ落ちた接点復活剤が他の部品に浸みこんで二次的な問題を起こすことがありますので十分注意して使用します。
分解前にメインチューニングを回したときにキュルキュルと音をたてていた場合、下のチューニングメカの黄色丸の部分から発生してることがほとんどです。良質グリスを少しだけ塗布して音が出なくなれば完了です。グリスの質や塗布しすぎに注意が必要です。
以上で内部の調整・補修は概ね完了です。メータ用の電球が切れている場合や、スライドスイッチのガリが酷い・切り替わらないなどは交換が必要です。
外したプリント基板、ケーブルを全て元に戻した後、下記のテクニカルガイドを元に測定器を用いて再調整します。最初に述べたように、テクニカルガイドはレストアガイドではありません。手順どおり調整しても満足な感度が得られなかったり、受信周波数範囲が合わない場合もあります。これらは部品の経年変化あるいは劣化、破損が見えないところで起きているためです。テクニカルガイドには回路図もありますので調整がうまくいかない原因を探して対処するようにします。高周波用トランス(IFTを含む)のコアが割れていたり、トリマコンデンサが破損していたり短絡しているなど非常に多くのケースが考えられます。諦めずに原因を探してみてください。
調整完了後は裏面カバー、正面ツマミ類を全て取り付けて完了です。満足いくレストアができたでしょうか。ロッドアンテナの動きが悪い場合などはCRC556などの潤滑剤をティッシュに含ませてロッドアンテナを軽く磨くとスムーズになります。もちろん湾曲していたり一部がつぶれている場合は別な対処が必要です。
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